フクロウ

2011年8月25日 (木)

インドに根強く残るフクロウを使った黒魔術

今回は久しぶりにフクロウの話です。インドや中東でフクロウの違法売買が増えているという話は前にも書きましたが(フクロウ・ブームは密猟を呼ぶ)、今回もすごい話です。もちろん現代の話。

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インドではフクロウが魔力を持つという信仰やポップ・カルチャーの台頭が原因で、フクロウの違法売買が急増中

マ・ラクシュミ


インド、ウッタル・プラデーシュ州、メーラト発

インド北部の都市メーラトに住むメフムード・アリ氏は、昼は大工、夜は呪術師をしている。本人によると、心配事や不眠で悩んでいる人を治療し、呪いを解き、運気を向上するのが仕事だという。

同氏は50歳、気さくに話してくれたところによると、治療の儀式を厳かにして効果を増すためには、フクロウの体の一部を使って儀式を行う必要がある。インドでは1972年からフクロウの売買が禁止されているが、こうした儀式のための違法売買は、あいかわらず国内各地で密かに行われているのだ。

メーラトはニューデリーの北東45キロのところにある工業都市。中心部のにぎやかな通りには小さく薄暗い店が無数に立ち並んでいて、かごに入れられたペット用の鳥が数種類売られている。その中にフクロウはおらず、店主に尋ねてもフクロウは扱っていないという。だがアリ氏の話では、彼がフクロウを買ったのはここで、値段は1羽が250ドル相当、爪と羽根は20ドルそこそこだったという。

世界自然保護基金(WWF)がインドでのフクロウの違法売買の実態を18年にわたって調査し、先月発表した「窮地に立たされた夜の見張り番」と題する報告書には、「フクロウの体や体の一部は、もっぱら黒魔術の儀式に用いられる」という記述がある。インド亜大陸には32種のフクロウが生息しているが、こうした儀式用としていちばん人気があるのは、直立型の耳羽を持つフクロウか、羽毛の束を耳のように立てることができるフクロウだという。前者の例としてはベンガルワシミミズクが、後者の例としてはミナミシマフクロウが代表的だ。インドでいちばんよく見かけられるインドコキンメフクロウには耳羽がないので、羽毛に液状の樹脂を塗り、耳羽があるように見せかけて売ろうとする者までいるという。

フクロウを欲しがるのは部族社会で暮らす人々ばかりではない。都市生活者もフクロウを必要としている。部族社会には迷信深い人が多く、生きたフクロウと死んだフクロウを両方使って邪悪な霊を払おうとする。いっぽう都市では呪術の儀式を行う者や、いわゆるタントラ教の道者がフクロウを買おうとする。人々はこうした霊能者に財産や精神、仕事などに関するありとあらゆる問題の解決を依頼する。ひどい場合には他人を呪ったり、人からかけられた呪いを解いてほしいという依頼をすることさえある。

「フクロウは鳥の王様で、すごい力を持っています。フクロウの爪に呪文を唱えて魔力を宿らせると、それで不眠を直し、不安感を和らげることができるんです。胸の羽毛に呪文を唱えて魔力を宿らせると、今度はフクロウが夢枕に立って、どうすればいいか教えてくれますよ。それと敵をやっつけたくなったら、血と骨が効果抜群です。」アリ氏はキンマの葉を噛んで赤黒くなった歯を見せながら、誇らしげにこう語った。同氏は夜になると、川のほとりで生きたフクロウに向かって何時間も呪文を唱える。そうすることで鳥の体が祓い清められて、不思議な癒しの力を持つようになるのだという。

インドの環境大臣ジャイラム・ラメシュ氏の話によると、インドでは親にペットとしてフクロウを買ってもらう子供が増えてきているそうだ。本と映画で大人気のハリー・ポッターが、ヘドウィグという名前のフクロウを飼っているからだ。「都市に住む中間層の人たちまで子供にフクロウを買ってやりたがるのは、実に奇妙なことです」と同氏。

1997年にアメリカの鳥類学者ベン・F・キングとパメラ・C・ラスムッセンが絶滅したと思われていたモリコキンメフクロウ(Athene blewitti)を発見して以来、インド国内ではフクロウの生息実態を調査しようという機運が高まってきている。

「インドではフクロウに関する科学的な生態調査は行われていません。ただし鳥類学者の報告によると、フクロウの生息確認回数はこの20年でかなり減ってきています」と話すのは、野生動物の取引を監視するWWFの出先機関、トラフィックのインド支部長、サミール・シンハ氏だ。「インドのフクロウに脅威となっている要因は2種類あります。1つは樹齢の古い木のある森が減って、生息地が限られてきていること。もう1つはあまり知られていないけれどもたいへん大きな要因、つまり人間の迷信なのです。」

同氏によると、警察が密輸されるフクロウを押収した事例から、インドが隣国のネパールやバングラデシュに大量のフクロウを輸出していることがわかるという。これらの国々では、インドと同じような儀式にフクロウが使われるのだ。「インドやネパール、バングラデシュ、マレーシア、タイではフクロウやその体の一部がよく押収されるんですよ」と同氏。

フクロウには得体の知れない恐ろしい力があるという考えは世界各地にあり、そのこともこの地域の違法売買の増加に一役かっている。フクロウは富と旅の安全を司るヒンズーの女神ラクシュミの乗り物であり、富をもたらす存在として多方面で崇拝されている。夜行性であることから、霊がもたらす秘密のパワーや死と関係づけて考えられているのだ。

前記したWWFの報告書には、「フクロウをはじめとする数種の鳥は高価格で売買されている。黒魔術に使いたいからという特別な要請があった場合だけ顧客の前に持ち出され、多くの場合顧客の家に直接届けられる。そのため売買の証拠が残らず、売られた鳥は誰ひとり知らないまま犠牲になっていく」とある。

同報告書では他にも、フクロウの価格が2008年までの6年間で最大10倍にまで高騰したこと、インド国内にはフクロウを売る店の集まっている場所が最低でも50カ所あるということが報告されている。執筆した鳥類学者のアブラール・アーメド氏によると、価格の高騰はフクロウの生息数が減って捕獲が困難になったこと、売買が禁止されたことが原因だという。

「フクロウを使った儀式を扱う『フクロウのタントラ』という本には150種類近い儀式が載っています。フクロウの体の実に多くの部分が儀式に使われるので、フクロウの数はどんどん減って、ますます生存を脅かされています。フクロウの涙や卵の殻を使った儀式まであるんですよ。こういう類の迷信にすがるのは不安感を払拭したい人が多いからなのです。小さな町の新聞には毎日必ず黒魔術を施しますという三行広告が載っていて、都会生活の不安がなくなり、失業中の人は職が見つかり、病気が治ります、と謳っているんです」と同氏。

インドでは11月にディワリというヒンズー教最大の光の祭りが開かれるが、この祭りの前には女神ラクシュミに捧げられるフクロウの数が急増するという。部族によって料理や薬にフクロウの卵や眼球を使うところもあり、またフクロウの肉は媚薬になると考えられている。フクロウを使った大道芸をする芸人もいるし、裁判所の外で評決を待つ人々にフクロウの体の一部を売る者までいる。

冒頭で紹介したアリ氏は最近、儀式を執り行うために生きたフクロウを買った時のことを思い出した。その日の夜、フクロウの親が夢にあらわれて、自分たちの子を殺せばよくないことがおこると告げたのだ。

「親フクロウはこう言ったんです。私たちの子どもにひどいことをしたら、お前の子にも呪いをかけてやるぞ」と同氏。

アリ氏は翌朝、フクロウを森に放したという…。

 

出典: http://www.washingtonpost.com  2010年12月6日

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2010年11月23日 (火)

Esolaのフクロウのポスター

Esola

西武池袋線の車内を飛翔中。

Esolaのフクロウのポスター

ついでにオープン時のすばらしいポスターも載せておきます。

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2010年1月31日 (日)

フクロウ・ブームは密猟を呼ぶ

さてさて、フクロウ人気はこんなところでも問題になっています。インドや中東での人気の高まりからネパールでの密猟が増え、同国のユーラシアワシミミズクが危機に瀕しているというニュースです。しかもこれらの地域では未だにフクロウの薬効が信じられ、食用にもされているという話。先日取り上げたハリー・ポッターのブームの影響もそうですが、現代人の自然に対する態度を如実に示しています。

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ユーラシアワシミミズクの違法取引が増加

 

ミマンシャ・ジョシ


カトマンドゥ発 学名をBubo bubo、一般名をユーラシアワシミミズクというフクロウの生息数が、違法取引の増加が原因で激減している。この希少種は研究のためや医薬品としての価値があるという迷信のため、きわめて需要が多いのが実情だ。

取引量に関しては異論もあるが、この鳥が以前多数生息していた地域で生息を確認できないのは、密輸組織がフクロウを捕獲させ、国外に持ち出しているからに間違いない、と専門家は指摘する。

今年33日には、2羽のユーラシアワシミミズクがルンビニ・ディベロッピング・トラストの保有する森で密猟者のワナにかかった。鳥類学者のヘム・サガル・バラル博士が発見した羽根を同定したところ、その事実が確認された。ネパールにはおよそ20種のフクロウが生息するが、中でもユーラシアワシミミズクなど最も大型の種は、生息に適した環境の減少や食料の不足も一因となり、その存在を脅かされている。密猟が特に盛んなのは、タライの平原から丘陵地帯にかけて。かつてはカトマンドゥやナガルジュン、シバプリ、トカにも生息していたが、これらの地域には今や1羽も生息していない。

カトマンドゥにあるヒマラヤ自然保護協会所属の鳥類学者、スジット・バスネット氏は、「5年前にシバプリでフクロウが2羽殺され、そのヒナがジャワラケル動物園に送られたことがあります」と話す。インドやバングラデシュといった国までもが、研究やペットとしての飼育、剥製製作、さらには肉が健康によいという迷信があることから食用のためにフクロウを密輸入してきた。ネパールのフクロウは密輸組織を通して他国に持ち出されている。

バラル博士によれば、密輸はフクロウの生存にとって大きな脅威となってきている。

「なぜ人々がフクロウには妊婦向けの薬としての薬効があると考えているのか、本当に不思議ですね。全く科学的根拠がありませんから」と同氏は話す。

また、フクロウには何十万ルピーもの価値があると考えている人がいるが、それも間違っている。「フクロウはそれほど高価ではありません。だいたい1万ルピーから6万ルピーほどです」と話すのは、バスネット氏だ。中東では暗視能力の研究に使うほか、ペットとして飼育するために、夜行性鳥類の需要が増加の兆しを見せているという。

これらのフクロウはルンビニを訪れる観光客向けの呼び物になっているため、生息数の減少は現地の観光産業にも影響を及ぼしている。  

 

 

出典: http://www.myrepublica.com  2009年8月7日

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2010年1月19日 (火)

ハリー・ポッター、ブームの功罪

ハリー・ポッターがブームとなり、日本でもシロフクロウの人気が高まったという話があります。本場イギリスではこんな問題が巻き起こっていますが、日本はどうなのでしょうか?

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ハリー・ポッターのファンが飼育を放棄したフクロウのための飼育施設がオープン

 

ハリー・ポッターのファンが購入したものの、家庭で飼うことを放棄したフクロウを飼育するための施設がオープンした。

ハリー・ポッター・ブームには、物語の中でヘドウィグという名前のシロフクロウを飼っている魔法使いの少年をまねようとしてフクロウを購入する人の数が急増する、という好ましくない一面があった。そこでフクロウが飼い主から世話をしてもらえなくなるという問題に対処するため、この度イギリスのワイト島に飼育施設が開設された。

その施設、ニューポート・アウル・アンド・モンキー・サンクチュアリを開設した動物保護の専門家ドン・ウォルサー氏は次のように話している。

「問題は特別な許可が要らず、誰もがフクロウを買えることなのです。ハリー・ポッターの映画を見てかっこいいと思うのでしょうが、フクロウを慣らすには何年もかかります。子供たちは本を読んだり映画を見たりして気やすく両親にせがむし、親たちは世話がどれほど大変かを全くわかっていません。現状ではイギリス国内の各地から20羽を収容しました。あるシロフクロウのつがいなど、エサもやらずに3日も庭に放置されていたんです。ほとんど死にかけていましたよ。まったくやってられません。考えられないような環境で飼っている人もいるんですよ。」

英王立動物虐待防止協会(RSPCA)の報道官ジョ・バール氏の話では、ハリー・ポッターの物語がきっかけでフクロウに関する一般からの問い合わせがかなり増えたという。

「ディズニー映画の公開で、ここ数年はダルメシアンの売れ行きが増えました。またティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズの人気で、カメの数も増えています。ハリー・ポッターの映画の第1作目が公開されたあと、フクロウを手に入れたいのだがどこへ行けば入手できるか、という電話が目に見えて増えました。」と同氏。

RSPCAでは飼育に手がかかることや20年近く生きる可能性があることから、フクロウをペットとして飼うのはやめた方がよいとアドバイスしているそうだ。

野鳥の売買は法律で禁止されているが、飼育下で繁殖させた個体は扱うことが可能で、シロフクロウは1250ポンドほどで売られているという。  

 

出典: http://www.telegraph.co.uk  2009年8月25日

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2009年11月21日 (土)

ネズミの害にフクロウで対抗

国連が食料を食い荒すネズミを減らすために、フクロウを使うことを計画しているという話題です。さて、その効果はいかに?

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国連がラオスの鼠害撲滅にフクロウの使用を計画

 バンコク発 ネズミの大群が押し寄せて収穫したばかりの米を食い尽くすような事態が起こると、ラオスの農民たちはメンフクロウやヘビ、その他の野生動物を捕えて空腹の足しにしていた。

だが今では、国連食糧農業機関(FAO)が食料確保のためにはむしろフクロウを保護した方がはるかに効率がいいということを農民たちに納得させるための取り組みを始めようとしている。フクロウはネズミの天敵で、1日に12匹ものネズミを捕食することがあるからだ。

ワナの効果があまり上がらず、殺鼠剤の効果も好悪まちまちだったことから、国連はネズミによる食害をなくすためにその天敵となる鳥の繁殖を促し、農民たちにそれらの鳥たちが生態系の中で果たしている役割を教えていくことを決定した。

「冗談だと笑う人もありますが、フクロウはとてもよい鳥です。いろいろな意味で役に立つ鳥なんですよ」とラオスの代表として国連の専門機関であるFAOで活動するセルジュ・ベルニオー氏は話す。

「農民の中にはメンフクロウを食べてしまう者までいます。そのメンフクロウがネズミとの戦いに協力してくれると知ったら、彼らだって変わるに違いありません。」

同氏によれば、ネズミのエサの供給源であるタケの開花は50年に1度しか起こらないが、昨年はその一斉開花後初めて起きたネズミの大発生が農村部を襲ったという。ネズミたちは11月に収穫されたばかりの米やキャッサバ、ゴマの大部分を食べ尽くし、そうでなくても飢餓の広がりつつあったこの地域には、食料がほとんどなくなってしまった。収穫物が壊滅的な打撃を受けた地域は、この国の北部7県に及ぶ。

国連世界食糧計画による救済措置で、被害のあった農村には5,500トン(5,000メトリックトン)の米が配布された。同機関の推計によれば、鼠害によってラオスに住む600万人の人々のうち13万人分の食料が不足している。

「いくつかの村では食料がすべて食い尽くされました。去年だけで収穫物が全滅したのです。そのため緊急の食糧支援が必要です」とベルニオー氏。

ラオスで世界食糧計画の施策の指揮にあたるエリザベス・フォーレ氏は、ネズミの被害は洪水と同じようなもので、抗する術を持たない農民たちを困窮の縁に追いやるという意味では一種の災害だと話す。ラオスはアジア最貧国の一つで、地方に住む5歳以下の子供の2人に1人が慢性的な栄養失調を抱え、全人口の3人に2人が日常的な食料不足に陥っているという。

「私が北部の県に行ってみると、農民たちは口々に米蔵が揺れるほどのネズミの大群がその周囲にあるものすべてを食べ尽くした、まるでネズミの海のようだったという話をしていました」と同氏。「たくさんの人々が、あらゆるものを失いました。まさに泣きっ面にハチです。」

国営の英字紙Vientiane Timesによると、ラオス厚生労働相のOnchanh Thammavong氏は木曜にネズミの大発生があったことを認め、国際的な食糧支援を歓迎すると述べた。同氏は問題解決のためにフクロウを使う計画については触れておらず、別の政府高官はインタビューの要請に応じなかった。

生物学者たちは生態系への干渉にはリスクがつきもので、特にその地域に生息していない種を新たに導入する際には注意が必要だと考えている。だがメンフクロウは捕食動物としてこの地域に以前から生息しているので、その点では国連の計画はリスクが低いと思われる。 

 

出典: http://www.hindu.com  2009年7月16日

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2009年10月31日 (土)

池袋にふくろうの神が降臨!

東京・池袋の大型書店「リブロ池袋本店」が10月29日にリニューアルオープンしましたが、その記念イベントとして、ふくろうの陶器の展示会が開催されています。

全面改装されてイメージを一新した別館地下1階から書籍館へと続く渡り廊下を歩くと、神々しい出で立ちをしたふくろうたちが静かにこちらを見つめています。その鋭い目の中には、日々の些事に追われる私たちをやさしく包んでくれるような温かさが同時に宿されていて、思わず引き込まれてしまいます。

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さらに書籍館地下1階、趣味・生活コーナーのキャッシャー横には食器や一輪差しなど、実用品の展示・販売コーナーも設けられています。

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展示されているのは滋賀県東近江市にある「布引焼」の窯元、小嶋一浩さん、亮子さん兄弟の作品。いま流行りの「かわいいだけのフクロウ」とは一味違った、「ふくろうのふくろうたる所以」を感じさせてくれる作品ばかりです。今回はスペースの都合でウォールディスプレーに適した作品が集められていますが、さらに大作もあり、かなりの迫力だとか。ぜひ一度窯元に行ってみたくなりました。

作品のほんの一例を姉妹サイト「わたしのふくろう日記」でも紹介しています。ぜひご覧ください!

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2009年9月20日 (日)

ニシアメリカフクロウの生息環境に政治の影

オバマ政権のフクロウ保護政策の続報です。環境保護に対する考え方がいかに政治に左右されるものかがよくわかります。前回記事は「オバマ政権とフクロウの生息数」をご覧ください。

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オバマ政権がブッシュ政権時代の森林伐採計画を白紙撤回 

ワシントン発-オバマ政権は木曜、ブッシュ政権が政権交代間際に決定した米国北西部での森林伐採拡大計画を白紙撤回し、ニシアメリカフクロウの保護計画を元通りの規模に戻すと発表した。

ケン・サラザール内務長官は木曜、オレゴン州西部の国有林での森林伐採を拡大する計画は、絶滅危惧種保護法に抵触するため継続困難であると述べた。内務省はニシアメリカフクロウに対する新たな保護措置を検討中だという。

ブッシュ政権はニシアメリカフクロウの生息数回復計画を改訂し、フクロウの優先保護区域の面積を減らして、伐採拡大の布石を敷いていた。オレゴン州西部森林計画の改訂は、米国国土管理局(BLM)の保有する何百万エーカーに及ぶ土地での森林伐採を拡大し、木材売却による収益を国が林業の盛んなオレゴン州と分け合う目的で行われた。改訂計画は作成に5年を費やし、完成はブッシュ政権末期までずれこんだ。

BLMは期限に間に合わせるため、政府派遣の生物学者にあらかじめ森林伐採がニシアメリカフクロウやサケに与える可能性のある影響を照会する必要はなく、木材の売却要請があった時点で個々に影響評価を行えばよいという主張をしたが、サラザール長官は検討の結果、それでは絶滅危惧種保護法に違反するという申し立てがあった場合に申し開きができないという見解に達したと述べた。

サラザール長官はテレビ討論会でワシントンDCからの記者の質問に対し、「ブッシュ政権のとった行動は計画を台無しにするものでした」と述べている。「ただでさえオレゴン州西部の森林保護が目立った成果をあげられていない今この時に、私たちは前政権のとった法の隙間をかいくぐり、科学の成果を傷つけるような行動のツケをまわされているのです。」

同氏は内務省の管轄下にある魚類・野生動物公園局のジュリー・マクダーナル前副局長がニシアメリカフクロウの保護に関する科学上の知見を都合よく操作していたという、昨年出された査察官の報告を何度も引き合いに出した。

同氏はさらに、木材の売却は再び北西部森林保護計画の下で管理されることになり、内務省は環境関連法規に抵触しない形で木材の売却を進める計画であるとも述べた。

ブッシュ前大統領の伐採計画通りに進んでいれば、昨年は実際の5倍もの量に当たる木材が売却されていた可能性がある。これは急激な増加ではあるが、それでも北西部森林保護計画が始動し、フクロウとサケの生息環境を保護するために伐採量が激減した1994年以前と比べると、半分に過ぎない。

北西部森林保護計画は森林保護活動家からの告訴をきっかけに作成され、ニシアメリカフクロウとサケの生息地を保護するため、オレゴン州、ワシントン州、カリフォルニア州北部の国有林の伐採を80%以上減らすことが決定された。ところが同計画に対する林産業界の反発を抑えるため、ブッシュ政権は新しいニシアメリカフクロウの生息数回復計画を作って優先保護地域の設定を見直し、オレゴン州西部森林計画改訂版を策定することに同意した。

昨年完成した新しいニシアメリカフクロウの生息数回復計画は、このフクロウに脅威となっているのは、森林伐採よりもむしろ山火事や、攻撃的なアメリカフクロウが東側から侵入してきてニシアメリカフクロウを追いだしている事態の方だという主張を展開していた。この主張により、BLMには特に北西部森林保護計画で野生動物の生息地域に指定された場所以外での伐採を拡大する余地が与えられた。

森林局環境倫理課長のアンディー・スタール氏は、木曜日の決定は「ブッシュ大統領がとったオレゴン州の魚類や野生動物の生息環境の保護を後退させる政策」を180度転換するものだ、と述べている。同氏はBLMのオレゴン州西部森林計画改訂版に対する訴訟の原告団の1人でもある。

「今回の措置でようやくブッシュ大統領の馬鹿げた政策が導入される以前の状態に戻ることができます」と同氏。

林業の業界団体、米林産資源協議会のトム・パーティン会長は、業界では北西部森林保護計画の下で十分な量の木材が確保できることを望んでおり、環境活動家からの圧力で減少していた木材の売上を、特に林業が大きな打撃を被っているオレゴン州南部で増やす努力をしたいというサラザール長官の発言に勇気づけられたと話している。

発表の少し前、現内務省書記官のネッド・ファーカー氏は弁護士からの電話取材に応え、内務省はオレゴン州西部森林計画改訂版を白紙撤回し、同計画を訴えていた4つの訴訟(うち3件は自然保護活動家から、1件は林産業界からのもの)の棄却を模索していると述べた。

 

この問題に関しては、他にも山火事の脅威は森林伐採を正当化する理由にならないとする新研究が発表されるという展開があった。山火事の脅威はブッシュ政権がニシアメリカフクロウの生息する老木林での伐採拡大を進める理由として使っていたものだ。

雑誌『保全生物学』に掲載されたこの研究は、フクロウの生息するオレゴン州やワシントン州、カリフォルニア州北部の乾燥地域で、老木林を壊滅させるほど大規模な山火事の脅威は増していないと論じている。

カリフォルニア大学デービス校で森林火災の生態学を研究し、論文の筆頭著者を務めたチャッド・ハンソン氏は、「(ニシアメリカフクロウの)生息数回復計画の下で伐採を大幅に増やすことを正当化しようとした議論は、健全な科学的根拠に基づくものではありません」と話している。「新生息数回復計画は“石橋はたたく前に渡ってしまえ”式の考え方で、きちんとしたデータを集めずに作られたものです。」

論文には1984年から2005年にかけて人工衛星から撮影された写真が掲載されており、山火事の規模がひと目でわかるようになっている。またその映像は、オレゴン州、ワシントン州、カリフォルニア州の3州にまたがるカスケード山脈の東部や、オレゴン州南部とカリフォルニア州にまたがるクラマス山脈の老木林の状況を記した政府のデータと比較できるようになっている。いずれも新生息数回復計画では山火事の危険性がきわめて高いとされた地域である。

論文によれば、老木林で大規模な山火事が発生する確率はカスケード山脈東部で1.34%、クラマス山脈で1.74%。カスケード山脈東部では746年に1度、クラマス山脈では575年に1度しか大規模な山火事が起こらない計算になる。

新生息数回復計画はこの論文より狭い地域と短い時間しか検討対象にしておらず、しかも検討結果を無理やり当てはめて結論を導いたものに過ぎない、とハンソン氏は話している。

「ブッシュ政権時代の回復計画がそうした間違った前提に基づくものであることは明らかで、今さらそれをどうこう言うことには意味がありません。問題はきちんと修正しました。一件落着です」と同氏。

 

論文の共同執筆者で、国立保全科学・保全政策センターの主任研究員であり、フクロウの生息数回復計画を巡ってブッシュ政権に論戦を挑んだニシアメリカフクロウ生息数回復計画チームの一員でもあるドミニク・デラ・サラ氏は、山火事の脅威は増していないどころではなく、森林がフクロウの生息に適した老木林へと成長していく速さは、山火事で燃えてしまうより5倍から14倍も速いのが実情だ、と述べている。

出典: http://www.msnbc.msn.com  2009年7月16日

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2009年9月18日 (金)

DNA解析によるフクロウ研究

今回はオーストラリアのメルボルンから。オーストラリアにはパワフル・アウルというすごい名前のアオバズクが生息しており、その大きさは日本のアオバズクの2倍もあります。大きくてもなかなか目にすることのできないこの鳥の生態を、DNA解析で研究しているという話題です。

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帽子に落ちてきた羽根でフクロウを研究 

ブライディ・スミス

 

メルボルンに生息するオニアオバズクの夜の生活が、研究者たちの努力で明らかになりつつある。このフクロウはなかなか姿を見せないことで有名だが、この鳥が落とした羽根をDNA指紋の鑑定に使って個体を識別することで、オニアオバズクという鳥とその生態が次第にわかるようになってきた。

 

ディーキン大学のフィオナ・ホーガン博士の手にかかると、犯罪捜査官がヒトの髪の毛を分析して犯罪者を特定するのと同じ方法で鳥の羽を分析し、ある鳥に固有のDNA指紋を識別し、種やオスメスの別はおろか、個体まで特定することが可能だ。そうした手法で得られた情報を使うことで、オーストラリア最大のフクロウであるオニアオバズクの分布や移動のパターンをマッピングしたり、鳥の夫婦が初めてつがいを形成したのがいつかを確認したりすることができるという。

ホーガン博士によれば、同氏はワランダイトでフクロウのつがいを発見し、そのDNAを解析することで、2羽の鳥が1995年からつがいを形成していたことをつきとめたという。同氏はこのDNA解析技術を使って5組のつがいのヒナの行動を3年にわたって追跡し、巣立ち後の行動を明らかにしたそうだ。

「これはフクロウの一生を通じての繁殖活動を科学的に解明した初めての事例です」と同氏。これまでのところ、同氏はメルボルンに生息するオニアオバズクのうち56羽の「指紋」を記録している。そのほとんどはヤラ川やその他河川の河口周辺の緑地帯、あるいはフラッグスタッフ・ガーデンズやセント・キルダ植物園に生息している。

同氏の研究で、都市域に生息するフクロウは概してブッシュに生息するものより互いの類縁関係が近いという事実も判明した。要するに、都市域に生息するフクロウには遺伝的多様性が少ないということになる。

「生息環境を十分に与えてやらないと、都市に生息するフクロウたちは互いの遺伝子の類似性が高くなりすぎる可能性があります」と同氏。「メルボルンに生息するオニアオバズクは、イースト・ギプスランドに生息するものより互いに近い類縁関係にあります。それはイースト・ギプスランドでは生息環境がメルボルンほど断片化していないからなのです。」 

出典: http://www.theage.com.au  2009年6月9日

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2009年8月 6日 (木)

教会に行ったフクロウの話

今回はちょっと心温まる話。嵐で吹き倒された木から這い出してきたフクロウのヒナが地元民に保護されて新しい住処を得たという話です。

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フクロウのチャーリー、教会へ行く

ティム・プラット

 

スタークビル発 チャーリーというのはスタークビルの中心街からそう遠くないグリーンズボロ・ストリート沿いの木をねぐらにしていた生後5週間のメンフクロウ。先週末まではグリーンズボロ・センターの前に立っているオークの大木の上に母親や数羽の兄弟と一緒に暮らしていた。付近の住民によればその木が植えられたのは1920年代のことで、幹周り89フィートに育っていた。

ところがここ数日、チャーリーは隣の木で暮らしている。先週末ゴールデン・トライアングル地方を襲った嵐の影響で、スタークビル各地で何本もの木が吹き倒されたが、残念なことにチャーリーの住んでいた木もその中の1本だった。日曜の朝にチャーリーは木から這い下りてグリーンズボロ・センターの方へ進み、階段を這い登って正面の開いているドアから建物の中に入っていった。ドアは中でミサが行われているので半開きにしてあったのだった。

チャーリーがマロリー・キースラーさんに出会ったのはグリーンズボロ・センターの玄関の広間だった。マロリーさんは11歳の女の子で、ミサから帰るところだった。1145分頃玄関に出てくると、隅の方に何か動いているものがあった。

「最初はポッサムかと思ったの」と彼女。

父親のマイク氏が近づいてよく見てみると、それはフクロウだった。そこでチャーリーを毛布でくるみ、奥さんのミラに車でウォーター・バレーにあるミシシッピ野生動物リハビリテーション・グループのオフィスまで連れて行ってもらった。調べたところ、チャーリーはいたって健康であることがわかり、同グループの教育係であるナンシー・ファッチマン氏が水曜の午後にスタークビルに連れて帰った。

マロリーさんは「チャーリーにまた会えてとってもうれしいわ。だってほんとうに会いたかったんだもの」と大喜び。

オクティッベハ・オーデュボン・ソサエティのローレンス・クロフト氏がチャーリーのために大きな箱型の巣箱をつくってくれ、もと住んでいた木から約40フィート離れた場所に設置された。チャーリーは水曜の午後にファッチマン氏の手で箱の中に置かれた。

ファッチマン氏も野鳥の会の他のメンバーも、チャーリーの母親がまだ周辺にいて、自分の子供の世話をしに新しい巣に戻ってきてくれることを望んでいる。

「私たちはすべてがうまく運んでいると思っているわ」とファッチマン氏。「巣がこわれてから数日のうちに超特急でことを進めたんですもの。親鳥はきっとまだこの近くにいるわ。たぶん夜になればチャーリーが鳴くので、周りを飛び回っている親鳥にそれが聞こえるでしょう。普通にいけばうまくいくわ。」

 

野鳥の会のメンバーたちができればグリーンズボロ・ストリートの木に戻したいと考えているフクロウは、実はチャーリーだけではない。チャーリーの巣のあった木が突風で折れた時、倒れずに残った部分の中には他に2羽のメンフクロウが残されていた。処理業者のBig A’s Bucket Serviceが根元の部分から伐採して、ようやくその2羽のフクロウが発見された。

そのうち1羽は怪我がひどいためにその後安楽死させられたが、もう1羽は足を骨折しただけで、ミシシッピ野生動物リハビリテーションで治療中。ファッチマン氏はあと数週間して傷が癒えたらそのフクロウをグリーンズボロ・ストリートに戻してやりたいと考えている。野生動物協会の職員は、巣箱を観察してフクロウの健康状態を監視したい、と話している。

巣箱はグリーンズボロ・センターのまん前に立つ木に設置されたが、同センター内にはスタークビル学区の教育委員会が入っているので、上記のいきさつは学校関係者の関心を集めた。委員長のジュディ・カウエイ氏は水曜の午後に起こった出来事を見て、喜色満面でこんな冗談を飛ばしてくれた。

「目の前にフクロウの家がある学区なんて、州内でもここしかないと思うわ。」

出典: http://www.cdispatch.com  2009年4月2日

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2009年8月 5日 (水)

フクロウを利用したネズミ駆除の取り組み

フクロウを利用したネズミの駆除はかつては世界各地で行われており、日本でも戦前まで行われていたという話があります。イスラエルでは現在これが組織的に行われている、という話題です。

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イスラエルで殺鼠剤の代りにフクロウがネズミを駆除

中東では農地の害獣駆除にフクロウとチョウゲンボウが活躍している。これらの鳥のために巣箱を設置し、作物を食害するネズミを捕食させている農家がたくさんあるという。

イスラエルでは以前から有毒な化学農薬の使用を減らそうという取り組みが行われており、今では政府の資金的援助を受けた国家的な取り組みに発展してきている。また最近ではヨルダンやパレスチナの研究者や自然保護団体も、この計画に参加している。

慈善団体のバードライフ・インターナショナルによると、イスラエルでは穀類の畑に殺鼠剤が散布され、その毒を体内に蓄積したネズミを捕食したために、何百羽もの猛禽類が命を落としていたという。その中には多数の絶滅危惧種も含まれている。だが現在ではイスラエルの研究者が農家と協力し、鳥たちを自然の害獣駆除役に仕立てることで、この問題の解決に努めている。

「この国には化学農薬の使用を減らさなければならない切実な理由があるのです」と話すのはモッティ・チャーター氏。テルアビブ大学の研究者で、グローバル・アウル・プロジェクトのイスラエルでの代表者でもある。

 

国境を越えて

 

「農業に携わる人の多くは化学農薬以外に害虫駆除の方法を知りません。彼らは農薬を大量に使用します。畑の上空から飛行機で空中散布するのです」とチャーター博士。

「私たちは農家の人たちに殺鼠剤の使用を減らし、かわりに巣箱を設置するように勧めています。」

この取り組みは1983年に始まり、ガラリヤ湖の南にあるベトシェアンのキブツ(農業共同体)周辺に数個の巣箱が設置された。プロジェクトは次第に規模を拡大し、チョウゲンボウのための巣箱の設置も行われるようになっていった。

「昼のあいだはチョウゲンボウが狩りをし、夜になるとメンフクロウが狩りをします」と同氏。

24時間続けて捕食の危機にさらされることで、害獣たちの行動に変化が表れました。その結果作物の被害も減ってきました。」

チャーター博士の研究に一部資金援助をしているワールド・アウル・トラストによれば、イスラエルには現在国内各地にメンフクロウ用の巣箱がおよそ1,000個設置されている。そのうちの1個にはウェブカメラが仕掛けてある。

イスラエルに生息するメンフクロウの亜種は、ヨーロッパに生息するものほど縄張り意識が強くない。また、ネズミの生息数は季節ごとの変動が少ない。そのため巣箱を比較的狭い間隔で設置することができる。

「最近ではヨルダンもこの取り組みに参加してきました」と話すのはワールド・アウル・トラストの名誉会長、トニー・ウォバートン氏だ。「おかげでプロジェクトの参加者が大幅に増えました。」

さらにチャーター博士が付け加える。「鳥というものはエサと生息に適した環境があればどこにでも巣を構えるものです。鳥には国境などというものはありませんから。」

出典: http://news.bbc.co.uk  2009年5月20日

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