フクロウ・ブームは密猟を呼ぶ
さてさて、フクロウ人気はこんなところでも問題になっています。インドや中東での人気の高まりからネパールでの密猟が増え、同国のユーラシアワシミミズクが危機に瀕しているというニュースです。しかもこれらの地域では未だにフクロウの薬効が信じられ、食用にもされているという話。先日取り上げたハリー・ポッターのブームの影響もそうですが、現代人の自然に対する態度を如実に示しています。
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ユーラシアワシミミズクの違法取引が増加
ミマンシャ・ジョシ
カトマンドゥ発 – 学名をBubo bubo、一般名をユーラシアワシミミズクというフクロウの生息数が、違法取引の増加が原因で激減している。この希少種は研究のためや医薬品としての価値があるという迷信のため、きわめて需要が多いのが実情だ。
取引量に関しては異論もあるが、この鳥が以前多数生息していた地域で生息を確認できないのは、密輸組織がフクロウを捕獲させ、国外に持ち出しているからに間違いない、と専門家は指摘する。
今年3月3日には、2羽のユーラシアワシミミズクがルンビニ・ディベロッピング・トラストの保有する森で密猟者のワナにかかった。鳥類学者のヘム・サガル・バラル博士が発見した羽根を同定したところ、その事実が確認された。ネパールにはおよそ20種のフクロウが生息するが、中でもユーラシアワシミミズクなど最も大型の種は、生息に適した環境の減少や食料の不足も一因となり、その存在を脅かされている。密猟が特に盛んなのは、タライの平原から丘陵地帯にかけて。かつてはカトマンドゥやナガルジュン、シバプリ、トカにも生息していたが、これらの地域には今や1羽も生息していない。
カトマンドゥにあるヒマラヤ自然保護協会所属の鳥類学者、スジット・バスネット氏は、「5年前にシバプリでフクロウが2羽殺され、そのヒナがジャワラケル動物園に送られたことがあります」と話す。インドやバングラデシュといった国までもが、研究やペットとしての飼育、剥製製作、さらには肉が健康によいという迷信があることから食用のためにフクロウを密輸入してきた。ネパールのフクロウは密輸組織を通して他国に持ち出されている。
バラル博士によれば、密輸はフクロウの生存にとって大きな脅威となってきている。
「なぜ人々がフクロウには妊婦向けの薬としての薬効があると考えているのか、本当に不思議ですね。全く科学的根拠がありませんから」と同氏は話す。
また、フクロウには何十万ルピーもの価値があると考えている人がいるが、それも間違っている。「フクロウはそれほど高価ではありません。だいたい1万ルピーから6万ルピーほどです」と話すのは、バスネット氏だ。中東では暗視能力の研究に使うほか、ペットとして飼育するために、夜行性鳥類の需要が増加の兆しを見せているという。
これらのフクロウはルンビニを訪れる観光客向けの呼び物になっているため、生息数の減少は現地の観光産業にも影響を及ぼしている。
出典: http://www.myrepublica.com 2009年8月7日
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