太陽光線の100億倍の明るさのX線でミイラを分析
今回はミイラの研究技術の話題です。スキャニングの技術は日進月歩で、どんどんミイラを丸裸にしていきます。
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太陽光線の100億倍の明るさのX線でミイラを分析
太陽光線の100億倍もの明るさのある英国のX線技術を使えば、ミイラなど古代遺物の内部の分析が可能に。
マシュー・ムーア
ビームラインという新しい装置を使用することで、科学研究者や考古学者は大きな物体の内部を透かして観察し、中に何があるか、どのようにして作られたかを研究することができるようになる、とタイムズ紙が報じた。
大英博物館所蔵のエジプトミイラのうち3体が、オックスフォード州にある科学研究施設「ダイヤモンド・ライト・ソース」に設置されたJoint Engineering,
Environmental and Processing(Jeep=ジープ)というビームラインを使用する初めての研究対象となる予定だ。
大英博物館のジャネット・アンバース氏は同紙の取材に対し、「この装置を使えばミイラの製作に用いられた技術や素材を解明する手掛かりになるでしょう。さらに19世紀に補修が行われた際にどのような方法がとられたのかもわかります」とコメントしている。
「この装置を使えるようになるのはとても楽しみです。当館の所蔵品をこれまでにない新しい方法で観察することができますから」と同氏。
ジープ・ビームラインによる研究の実績がある科学者、ジェン・ヒラー氏によると、考古学者はこの装置を使えば研究対象を傷つけることなく古代の遺物の謎を解くことが可能になる、という。
ダイヤモンド・ライト・ソースには他にも強力なX線装置があるが、それではもっと小さな物体しか扱えない。
「今までは大きい遺物をこれほど精確にスキャンして映像化することはできませんでした」と同氏。
大英博物館のプロジェクトに関して言えば、「ミイラの内側にあるものが映像になって見える可能性があります。エジプト人はミイラの中にいろいろなものを隠していることが多いのですが、石棺やミイラの覆いの内側にあるものはとても壊れやすいのです」とのことだ。
ダイヤモンド・ライト・ソースはオックスフォード州ディドコット近郊に位置し、2007年にオープンした総額26億ポンドの研究施設だが、ジープ・ビームラインは同施設が作り出した強力なシンクロトロン光源を備えている。
出典: http://www.telegraph.co.uk/ 2009年2月17日
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