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2007年10月

2007年10月30日 (火)

ケンムン

昨年与論島に旅行した時、与論民俗村の菊さん(ご主人)に昔よく出た化け物の話をお聞きした。当時書いた旅行記では、「夜道を歩いているとまわりにたくさん寄ってきた。また、漁師が魚やタコをとってくると、目の玉だけをイサスがとっていってしまったものだという」という聞き書きを載せたが、この「イサス」という言葉の聞き取りに自信がもてなかった。帰っていろいろ調べてみたが、どこにも件の名前の妖怪の話は出ていなかったからだ。話を聞いた時には二度も確認して、確かにそう聞いたのだが…。
ところが先日、田畑英勝著『奄美の民俗』(法政大学出版局、1976年)を読んでいたら、ようやくそれらしき妖怪が姿を現した。

イシャトゥ
大島のケンムンに性格がよく似ている。体格は小さく、子供くらいという。夜いざりをする。魚の目を抜きとったりする点も似ているが、人はだまさない。火になって飛ぶともいわれており、ハタパギと同じともいわれている。

なるほど、聞き取りは間違いではなかった。幻の「イサス」はやはり存在していたのだ。
与論の闇は濃かった。昭和30年代にようやく電気の引かれた与論では、今もケンムンのいきれがそこここに残っている。遠い海原のむこうから寄りついた神は、闇夜の中でだけその息吹を聞かせてくれるのだ。闇を消し去ることばかりを追い求めている都会に住む者として、ケンムンの息吹にかえって明るいものを感じたことを、今思い出した。

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2007年10月28日 (日)

青い鳥

我が家の玄関で訪れた客を迎えてくれる青い鳥が換羽期に入ったようだ。

Photo_5

名前は「青ちゃん」。あだ名ではない。近所の病院でもしっかり登録されている正式名称だ。ちなみに、我が家にかつていた鳥の名前を挙げてみると、「白ちゃん」「青ちゃん」「バカ青」「青青」「縞チビ」「チビ助」…。決定的なボキャブラリー不足だが、もちろん用は足りている。
「青ちゃん」は別名「ぼたあお」。今は亡きセキセイインコの「青ちゃん」と区別するためにわざわざ接頭語を冠しているところが、単なるボキャブラリー不足ではない証しだ。
ちなみに「ぼたあお」は「ボタンインコの青ちゃん」の略。体全体が鮮やかな緑色をしており(日本語では緑は青に等しい)、額から頭頂にかけてが紅い。瞳は見つめると吸い込まれそうなほど黒く、つぶらだ。体長18センチ。セキセイインコより若干大きく、強い。

換羽期の話だった。鳥の羽は人間の髪の毛とは違って、よほど複雑にできている。飛ぶためだけでなく、体温を保つための衣でもあり、抜け変わるのに相当なエネルギーを要するらしい。体中のすべての羽がぬけ変わるのだから、体にかかる負荷は大変なものなのだ。
「ぼたあお」は今年確か11歳。人間の年齢に換算すると80を超えている。
フワフワとした綿羽が家の中を舞っているのを見るたびに、がんばってくれ! と声援を送りたくなってくる。

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